辻村深月先生の「ハケンアニメ」が面白くて仕方がなかったので、この気持ちを15分で書きなぐってみた。

辻村深月先生の「ハケンアニメ」を読みました。

いやぁ、面白かったです。
久しぶりに、高揚する気持ちを抑えられずにページをめくる手が止まりませんでした。

これ、アニメに関わる人たちにスポットを当てている話なのですが、何がいいって、作中に登場するアニメが本当に面白そうなんですよ。
ああ、こんなアニメがあったら見てみたい。一緒になって放送している時間を楽しみたい。
そう強く感じるんです。

小説はマンガと違って、自分がいちばん良いと思う画で作品を楽しむことができる媒体だと思います。
もちろん、マンガは我々が想像できないようなものを描いたり、作家の絵そのものを楽しんだりできるわけですけれど、自分の感覚とずれると、それが時としてギャップになることがあります。
でも、小説はそういうロスが少なくて、読み手の想像力が画を補正してくれるんです。
私たちの想像力が働けば働くほど、作中のアニメがどんどん面白くなっていくんですよ。
これって小説の基盤とする力ですけれど、改めて考えるとすごいことですよね。
この小説を面白くしているのは、作者だけじゃなく、私たちでもあるってことですから。

またですね、こういった読み手がコンテンツを面白くするという考え方とこの作品のテーマがシンクロするんです。
だから、余計にいま感じている気持ちに意味が出てくるというか、この楽しみ方を肯定してくれているような充足感があって。
こういう想像力が多分に活躍する小説こそ、映像化不可能な作品だと思いますよ。

っていうかこれ、an-anで連載していたんですね。
どういう経緯でアニメと縁遠い雑誌で掲載することになったのか気になるところですが、ともあれどんな人にもおすすめできる作品であることには間違いないです。
何を隠そう、私自身この作品を読むきっかけが、アニメなんて見ない父から勧められたからで。

アニメを好きな人はすごく楽しめますし、アニメを見ない人も楽しめる良い作品でした。
辻村深月先生の作品はほとんど読んだことがなかったけれど、これから読みあさってみようかなぁ。