秋★枝先生の「恋は光」というマンガを、改めて読んでいました。

「恋は光」は、恋をしている女性のことが光ってみえる西条君とある3人の女性の、恋の物語です。
恋とはなんだろうかと悩みながら少しずつ進んでいく、恋の物語なんです。

僕は普段ほとんどのマンガを読み直すことはないのですが、このマンガだけは何度も読み直してしまうんですよね。恋愛をテーマにしていながらもドロドロしすぎず、なぜか癒やしにも似た空気感を持っている作品だからでしょうか。しかし、一方で自身の境遇や価値観、実体験に刺さってしまう部分もあり、ときに辛く、涙を流したくなる瞬間もあります。
そんな辛さもありながらそれでも読み返してしまう一番の理由は、認めたくはないですが、おそらく自分自身が恋に迷っているときに読み返したくなるんでしょう。

というのも、登場人物が恋について真面目に向き合い、悩み、考えるところが僕は好きなんですよね。僕も悩むというか、感情を論理的に整理しようと考えてしまうことが多いのですが、「恋とは認識することで恋になる」とか、そんなことを真面目に考える姿にとても共感しているんだと思います。
それに、悩むことは悪いことではないんだと、どこか肯定してもらえているような気持ちになれるのも、読んでいて心を揺さぶられる部分なのかなと思います。
実際のところ、恋は感情の赴くままに突き進めば良いという考えもあるでしょうし(そういう考えをもつ登場人物も出てくる)、考え方に正解や優劣はないのでしょうが、しかし行動するたびに疑問を解消しようとする癖……生き方は、僕にはもう変えることはできないのだと思っています。
だから、僕はきっと悩むたびにこのマンガを読み返すことでしょう。
まったく、良い歳をして何を悩んでいるんでしょうね。中学生かよと(笑)。

しかし、本作は読むたびに心を揺さぶられる瞬間が変わりますね。
あるときは主人公の立ち振る舞い方に共感し、あるときは恋に敗れる女性に感情移入してしまい。
そして今回はというと、「好きな人とのデートをしたら、相手は楽しそうにしていたけれどそこに恋愛感情はないことがわかってしまい辛い」というシチュエーションに心がやられました……。
人の感情という見えないものを、繊細かつ豊かに表現する秋★枝先生は本当に天才的であり、また残酷ですね。(褒め言葉)

そんなわけで、恋愛経験に乏しくて悩んでしまう大学生にはとても刺さる内容になっているのかなと思っているので、好きかもって人にはぜひ読んでもらいたい作品です。恋愛マンガが好き、淡いタッチの漫画が好き、秋★枝先生の描く繊細な表現が好きって方にもぜひ。(最後のパターンに該当する人はもう読んでいるでしょうが)

きっと貴方のなかにある「恋」に、新たな風が吹き込むことでしょう。