逃げ恥スペシャルを見ました。

逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!」を見終わりました。

見終わった瞬間の感想は「なるほどなぁ」でした。
楽しいとか、キュンキュンするとか、そういう気持ちよりもまず最初に「なるほどなぁ」と。

僕が見たかった逃げ恥だったかというと少し形は違っていましたが、でも僕が好きな野木亜紀子さんならこういう形にするだろうなと思ったので、最善の形だったのかなと思います。

以下、ネタバレありますのでお気をつけください。

社会問題に対する意識

過去のドラマを見ても、野木さんは社会問題をドラマのエッセンスとして取り入れることが多くて、今回もその部分が多いドラマでしたね。(けもなれ、MIU404、フェイクニュースなんかも印象的でしたね)
とりわけジェンダーロールに関する部分が今回は多かったですが、2時間半に色々な問題を詰め込んだせいもあったのか、若干唐突感があったように感じました。
なんというか、逃げ恥の登場人物を使ったスカッとジャパンみたいなそんな雰囲気があって、個人的にこの部分はドラマとして楽しむことはできませんでした。

もっとも、この時間帯のドラマでこうした社会問題をわかりやすく伝えるというのは大切なことでしょうし、きっと届いていると思います。

COVID-19を取り入れたこと

大ヒットドラマの脚本家として

この点については正直賛否両論なのかなと思っています。
でも、「逃げ恥」という大ヒットしたドラマの脚本を再び書く機会があったとき……自分は多くの人たちへメッセージを伝えることができる立場であると感じたとき、野木さんは届けようと思ったのかなぁと。
僕は野木さんのことはドラマの脚本を通じてしか知りませんが、これまでのドラマを見ているとそうした想いを持つ方なのではないかなと感じています。

似たような境遇の人への励まし

実際のところ、今回のみくりさんと平匡さんのように離れて暮らすようになったり、乳児への不安で押しつぶされそうになったり、あるいは会いたい人にずっと会うことができなかったりしている方は多いと思います。
辛い気持ちを抱えていると場合によっては死にたいとさえ感じてしまうこともあります。
そういう方々への励ましたい気持ちが、ドラマ後半の展開にあるんだんということは想像に難くありません。
副題に入っている「ガンバレ人類!」も納得です。

ドラマの中盤で平匡さんがみくりさんに「辛かった気持ち」を打ち明ける瞬間があったじゃないですか。
僕もこのドラマを見たときに、「この生活で僕がいま感じている辛さをわかってくれている」と感じたのか、少し涙が出てしまいました。
辛い、やっぱり辛いよね。

新様式へ慣れてしまった私たちへ

また、COVID-19との長い付き合いによって私たちは慣れ(悪い言い方をすれば緩み)をもたらしている部分もあるかもしれません。
もちろん、人によって違いはありますし、いまもなおしっかりとした対策を取り続けている方々もいらっしゃるはずです。社会全体がどういった傾向にあるといった主観(あるいは客観でもいいですが)的な感想や、その部分の是非などを語りはしませんが、少なくとも僕自身は「まだ終わってはいない」ということを改めて実感する瞬間でした。
仕事でも同じようなことがありますよね。長いこと同じ仕事を続けていると情熱や興味が失われたり、機械的にこなすことができるようになりますが、ある日ふと「そうだ、僕はこの仕事をしているんだ」と自分を見つめ直す瞬間みたいな。
僕にとって、今回の逃げ恥はそうした側面を感じることができました。

フィクションの楽しみ方

ただ、一方でフィクションでは楽しい部分を見ていたいという気持ちもあるんですよね。
辛い世の中だからこそ、せめてフィクションでは楽しい部分を見ていたいというか、ドラマの中でまでCOVID-19の心配や不安を感じたり、思い出したりしたくはない……そんな気持ちもありました。

ですので、今回の脚本がすべての人に対して良いものだっとは言えないでしょうし、きっとつまらないと感じた人もいると思います。こればっかりは野木さんが選んだ道なんだろうなとは思います。
何を描くかは、スタッフが決めて良いんです。

久しぶりに見た役者さんたち

ガッキーはかわいい

やっぱりガッキーは可愛いんですよ、可愛い。
僕は録画で見ていたのでCMは飛ばしながら見ていたのですが、CMにはいった直後に(ガッキーが出演する)メルティーキッスやリングフィットアドベンチャーのCMが流れたときは、そのまま見続けてしまいました。
いやー、素晴らしい。

真野ちゃんありがとう

いま真野ちゃんはスペイン暮らしなので、わざわざ帰国して隔離生活を送ってから撮影に挑んだわけです。
そうした背景も知っていたために、やっさんのシーンが流れたときはなんとも言えない感動と涙が溢れてしまいました。
こんなに大変な世の中でも真野ちゃんの顔を、演技を見ることができたことが素直に嬉しかったです。
やっさんという良い役をもらえてよかったよね。

さいごに

そんなわけで良いところばかりではない逃げ恥スペシャルでしたが、結果的には、うん、良かったかなと思います。2021年だからこそ生まれたドラマではありましたが、2021年に放送する必要のあったドラマでもあったと思います。
ドラマが、娯楽が人々に与える影響って大きいんですよ。勉強になること、励みになること、感動をもらうこと、きっと様々な部分で我々は影響をもらっているはずです。
だから、そうした部分に真っ向から立ち向かった今回の逃げ恥スペシャルに、関わったキャスト・スタッフさんに感謝したいと思います。

うん、もう少し頑張ろう。